クリエイティブ・デベロッパーの能力を最大限引き出すためには

HARUNO MANRIKI

企業の在り方を独自のプロセスで聞き出し、根本にある軸を見出すB&H。その手で生み出された制作物は企業の在り方を感覚的に伝えるために緻密に設計されている。そのこだわりはクリエイティブ・デベロッパーの能力を最大限引き出すために、どのように影響しているのでしょうか。デベロッパーの目から見たB&Hについて、パートナーとしていくつものプロジェクトを共にした小林さんにお話を伺いました


小林陽一

株式会社つみき、インターフェース開発室長、 フロントエンド・デベロッパー、ディレクター。ウェブ制作会社、フリーランスのコーダー兼テクニカルディレクターとしての経験を経て株式会社つみきに入社。中小規模の企業サイトとキャンペーンサイトのコーディング、映画情報サービス「Filmarks」の開発を担当後、2016年から受託制作に専念。2017年より、受託業務の開発者のみを集めたチーム「インターフェース開発室」を新設、その室長を務めている。B&Hの案件ではハッシャダイ、アンダーソン毛利知常法律事務所、CRAZY他を担当。弊社デザイナーと共にウェブUIの可能性を模索しながら、挑戦的かつユニークなコミュニケーションで建設的なフレームワークを築いている。


─ B&Hのブランディングプロジェクトと他のデザインプロジェクトとの違いはどこにあるのだと思いますか

小林: B&Hさんのブランディングプロジェクトは、ビジュアルやアニメーションなどの視覚表現、コピーや編集といった言語表現、ブランドトーンや情報設計などの戦略設計など、クリエイティブの全てに一貫性があるのが他と大きな違いだと思います。他の企業さんも「コンセプト」というものはあるのですが、それは表面的なものでして、B&Hさんは全く別のものを策定して進めていくイメージです。そのため、僕も自分の担当する領域である演出やUIのアニメーションをただの賑やかしの動きにはせず、デザイン上の意味をもたせて構築するように意識しています。そのような意識を持って仕事に取り組める点は僕にとって非常にプラスです。実装するにあたって元々のブランドに軸があるのとないのとではかなりアウトプットの品質が違ってきます。

例えば、実装を終えてアウトプットしたものをお客さんに対して説明する時に軸が伴っていないと個人の好き嫌いのぶつけ合いになってしまって話が折り合わないのですが、軸があれば演出は客観的なものになり説得力がでます。つまり、その企業のブランドの在り方に沿ってどういう技術を使ってこういう動きにしましたっていう理屈がたつんです。B&Hさんの案件ではそのおかげで、実装して動きを付けてからの差戻しがほとんど発生しません。

─ 差戻しが発生しない案件はめずらしいですか。

小林: そうですね。他の案件では軸がきちんと策定できていないケースも多く、演出をすべて実装した後になってからデザインのレベルまでひっくり返ることがあるんです。いま流行っている演出やUIのアニメーションを理由なく実装してみたいと途中から提案されるデザイナーの方もいらっしゃるんですが、そういった方とは中々信頼関係が築けません。軸のとおったロジックの延長で演出の方法を決められない場合は、アニメーションの動きを横にするか縦にするかの議論で一日使っちゃったりします。

─ そのほかにも何か変わった特徴がありますか?

小林: B&Hのデザイナーである富田さんのデザインを見ると、リキッドとレスポンシブの組み方がイメージされているなっていうのがpsdファイルに引かれたガイドを見てすぐに理解できます。60本のガイド全部が正確に引かれていて、ページ内の各コンポーネントをレイアウトするグリッドのルールが把握できる。あれは本当に設計しやすいです。直接やり取りをしなくてもデザインの意図が伝わってきますし、psd上で多少のズレがあった場合も僕の裁量でルールに従った数値に修正することもできるので、結果的に実装されたウェブサイトのデザイン面での質を保つことができるんですね。そのような設計を細かく意図したデザインをいただくことができるので、その後細かい修正の指示が戻ってきた時にもフラストレーションを感じることがないように思います。ウェブサイトの質を高めるためのフィードバックであると素直に受け取ることができます。それに、フィードバックのためのバッファを最初からもってスケジュールを出していただくので、こちらのペースも守って実装に取り掛かることができていると思います。

─ 守らなければいけない軸がはっきりしていることによってやりにくい点はありませんか。

小林: B&Hさんとはお互いのこだわりについての議論を毎回行っているんですが、外部のパートナーの僕であっても結構多くの主張をさせていただいています。このデザインのまま実装してしまうとスマホで見た時に使い勝手がよくないとか、CMS化した際に運用がしにくくなるなどといった話を好き勝手させていただいています。そのような主張を受け入れていただく時もあるし、デザイナーの方のこだわりや反論をいただく時もあります。そういう議論ができるのはいいなと思います。

─ 議論がない方がスムーズなように思いますが…

小林: 議論というかコミュニケーションですね。B&Hさんには「下請け」に仕事を発注しているという概念が全くなく、同じ視点を持ったチームのいちメンバーとしてプロジェクトに参加させていただけています。それはクライアントなどの「上」に対しても同じで、しっかりと目標に向けて本質的な話し合いをしながら進めていきます。意見交換をきちんとしてからの方が納得して実装に取り組めますし、そのおかげで良いものを作っている実感があるので、モチベーションが落ちません。議論ができるというのはデザインの再現だけではなく、設計面でも結構いい点があります。例えばCSSをFLOCSS(https://github.com/hiloki/flocss)という設計思想に基づいて構築していて、FLOCSSにはコンポーネントごと汎用性や役割によって分類していく基本原則があるんですが、B&Hさんとのお仕事ではキックオフの段階でそのための議論ができています。デザインをページ単体としてだけではなく個々のコンポーネントの集合でもあるように意識して制作していただけているので、ページを量産する段階になった際にページのデザインがなくても実装を進められることがかなりあります。このページは原稿と既存のコンポーネントで構築することができそうだという判断ができるんですね。

─ 既存のパーツを組み合わせることで成立すると。

小林: そうです。そうすることでウェブサイトを有機的で汎用性の高いものにすることができ、お客さんの追加依頼にも対応しやすくなります。既存のコンポーネントを基礎にしながら、ここの部分は訴求力を高めたいのでユニークな要素の方がいいとか画像を作る必要があるのではという追加の議論をしていくことで、既存のコンポーネントを集めただけの無機質なページが量産されるのではなく、強調したいポイントはしっかり訴求されたメリハリのあるページを作ることが出来る。そういうやり方ができているので当然進行はスムーズなものになりますし、設計がうまくいっている実感が常に続くので、それもモチベーションが落ちない、仕事がだれない理由の一つになっていると思います。いい意味でフレームワーク化して、それで瞬発力を出すって感じです。だから実装のピークも読みやすいんですよ。

B&Hさんの場合はキックオフを行ってからすぐに取り掛かる初期設計の段階で5割くらいの作業が片付きます。キックオフ時にページ遷移やスクロールの演出といったサイト全体の演出の要になるような要素をガチガチに固めるんです。会社に僕の部下が一人いるんですが、そういった要になる要素さえ僕が作ってしまえばその後は部下に作業を振り分けることもできるし、僕の稼働がその瞬間に一気に減ったりするので、そこで複数の案件をこなすといったことができる。ペース配分がしやすいです。

─ 一緒に仕事をする前のB&Hのイメージはどんなものでしたか?

小林: もっとアクが強いのかなと思っていたのですが、意外と柔和でしたね。ADのかたが有無を言わさず、「こうした方が良いからやって!」と言われるのかと思っていました。実際は全然そんなことはありませんでしたね。ブランディング面とかビジネスの成果物に関しては、ブレてなくて、クオリティが高い。撮影とかロゴ制作をやられていて、それをやる専門の人がいるんだなっていう印象は今も変わらないです。

─ 今までB&Hとやった案件のなかで一番印象に残っている案件はありますか?

小林: 毎回新しい発見があるので、特にこの案件というのはありません。デザイナーが同じ方だと過去の案件で設計したものを使い回せることが多いので、常にブラッシュアップができています。そのおかげで、前の案件で苦労したところで再度苦労するという事がほぼありません。例えばハッシャダイさんでこだわったスクロール演出をしたので、次からそのスクロール演出のために使った自作のフレームワークを使いまわして、さらに汎用性の高いものにするといったことができるわけです。そのようにして軽くなった実装コストを使って新しい演出にも挑戦することができますし、以前問題になったところを改善することもできます。

ハッシャダイさんの時にローディングがちょっと長いとか、ページ遷移がちょっと重たいとかっていう問題があったんですが、それらもその次の案件では解決できたんです。前の案件のお客さんには申し訳ない話になっちゃうんですが、その時は技術力が足りなかったものが、徐々にナレッジが蓄積していってできるようになっていく。それは前の案件よりも今やっているものの方が印象に残っているというわけではなくて、継続してより良いものを作れるようにになってきている実感があるということです。

─ デベロッパーと制作の理想な関係とはどのようなものだと思いますか

小林: B&Hさんと築いている関係がわりと理想的だと思います。制作と開発はお互いのポリシーをぶつけて、かつ否定せずに消化させていくべきなだと思っていて、そのための議論ができています。さらにクライアントの利益を軸に話ができているのでとても良い関係かなと。

─ そこにクライアントを加えた3者の関係性についてはどうでしょうか。

小林: お客さんは、そこに投げれば実装面でもブランディング面でも理にかなったものが出てくるよねって言う信頼できる相手を求めて内製ではなく外注という選択をしているはずなので、お客さんにとってある意味都合の良い存在であることが理想ですよね。そういったものをデザイン面でも実装面でも成果として出せることでトライアングルが成立するんじゃないかなと思っています。お互いお客さんの方を向いて対応する。それが、B&Hさんとはできているかなと思います。進行している時もそうですし、次の案件の時に前の案件でだめだったからこうしようみたいな話もできるので。

─ 小林さんとB&Hが一緒にやることによってクライアントに提供できている成果はどのようなものがあるでしょうか

小林: 客観的な数字ですね。例えば採用を強化をしたいと言う話だと、成果の目安となる数字の1つは、新しいサイトにした後にウェブ経由でどれくらい応募が来たか、もしくはツイッターなどのSNSでどういう印象でつぶやかれているかとかになってくると思うんですけど、以前担当した案件では狙った通りの層が来るようになったということを聞きました。アクセスも3倍以上に増え、応募者の数が増えるだけでなく、応募者の質も設計通りに高くなったとのことです。軸があるからこそ数字が出る。数字だけ追っても良くないし、軸だけでもダメ。みんなが満足しながら結果も出せるっていうプロジェクトにするのがb&hさんと仕事する時のやりやすさだと思います。

─ デベロッパーが制作会社に求めていることは何でしょうか。

小林: 自分がどれだけその案件にコミットしているかを感じられているウェブのエンジニアってそんなに多くないと思うんですよ。制作のフローでいうと末端ですから、下から提案したことが全然通らない、聞き入れてもらえないということも多いように思います。あとは、ブランディングができていない案件だと雰囲気で話が進んでいってしまったり。どうしてこの演出を実装したいということになっているのかの明確な理由が誰に聞いても分からない。そういう現場で手ごたえがないまま仕事をしている人は多いと思うんです。だから逆にB&Hさんのような会社だと、その辺の説得力を与えてあげられるんじゃないかなと思っています。

─ コミットしている実感と説得力のある設計を求めている人が多いけど、それがかなっていないと。

小林: 売り切りの受託案件ではなく、1つの プロダクトにコミットしたくて事業系・サービス系の会社に就職するっていう人も多いですね。でもそれだと、結局会社の中で発言権のある位置に就いて、プロジェクトを長期で仕切ることができるくらいのキャリアを得ないと自分が作っているモノの責任を持ったことにはならないと思うんです。主観ですが、そこに至るまでの行程がクライアントワークを主な仕事としている会社に比べると長い時間を要するはず。それが合ってる人もいるんでしょうけど。給料がなるべく良いところを選んだんだけど裁量が全然与えられなくて、機動力も低い。だから自分の能力も伸びている気がしない。そういう漠然とした不安を抱えている人にはB&Hのような制作会社の方があってると思います。

─ 将来的に役に立つということですか。

小林: そういう会社を経た後に、スタートアップのようなこれから盛り上がっていこうという企業に中途でマネージャーとして入るというキャリアも描きやすいと思うんです。最初から責任も裁量も少ない現場で体力をもてあますような仕事をしないで、自分の裁量で仕事ができるところで経験を積んだ方がいいんじゃないのっていうのは普段から年下の同業者などには勧めています。

─ 制作会社で働くには、どんな体力が必要なのでしょうか。

小林: どれだけ主体的に設計に対してエネルギーを使えるかということだと思います。知恵熱みたいな感じですね。運動しないでずっと暗い部屋でPCに向かってるはずなのにすごいカロリーを使ってる実感があります。主体的に考えないといけない部分が多いのでパワーを使うんでしょうね。デザイナーの意図を汲みつつ、レスポンシブデザインやリキッドレイアウトなどデザインでは再現しきれない部分をどのように設計すべきなのかとか、前にうまく実現できなかった演出や機能を次はきちんと実現するためにどのように改善をすべきなのかとか、そういうところでも頭を使います。

─ 案件の途中に、その案件とは関係のない将来のための準備をするという意味でしょうか

小林: はい。案件度外視で一旦時間とパワーを全部そこにつっこんで、未来の自分のためにフレームワークを自作するみたいなことをやっていくんです。そういう自主性が出せるかどうかっていうところで一番体力を使う。結局なまけちゃうんですよ、そういうところって。そこをなるべく怠けずに、将来の自分のために習得あるいは改善しておくという意思みたいなものが必要かなと思っています。

─ その意思がある人がB&Hのようなブランディング案件に向いていると思いますか

小林: そうですね。既にそういった自主性が備わっていて且つキャリアも充分にある人は、おそらくもう自分の会社を構えているかフリーランスとして活躍されているはずなので、B&Hさんのような環境が向いているのはある程度はそういう意思や自主的に手を動かせる素養はあるけど、それが活かせる仕事が少なくて、今よりももっとエネルギーを費やせるようなプロジェクトに関わりたいと思っている人じゃないかな。僕らの仕事であるプログラミングはつまるところ言語なので、やればやるほど習得できるんです。野球とかと同じですね。素振りをどれだけするのかっていう話。そういう意味ではシンプル。それを実践する時間をとにかく費やすだけです。10000時間同じこと続けられるかですね。僕も初めからそんな人間だったわけではないですけど。

B&Hさんの仕事はブランドの軸があることで修正が少なくなり、ブランドにポジティブなインパクトを残せるような新しいことに自分の時間を費やすことができる。クリエイティブ・デベロッパーが構築しやすいグリッドレイアウトやコンポーネント化を意識したデザインを心がけてくれることで余計なことに時間を使わなくてすむ。同じ視点を持ったパートナーとして意見を建設的に交換できる文化がある。など、B&Hさんにはクリエイティブ・デベロッパーの実力を最大限生かせる環境が揃っているんだと思います。

小林さんが関わったプロジェクトはこちら

Prored Partners INC
CRAZY INC
HASSYADAI INC


ブランドの在り方を経営学を通して見つけることによって、クライアントを含めたチーム全員に共通の軸を作り、プロジェクトを進めていくB&Hの仕事の進め方はデベロッパーさんにとっても他にはない体験のようです。アウトプットの品質を高く維持するために設計されたスケジュールとプロジェクトマネジメントによって、個の力を最大限生かそうとしているB&Hのスタイルは一緒に仕事をしているパートナーさんにとっても良い相乗効果をもたらしているようです。

現在B&Hではクリエイティブ・デベロッパーを募集中です。より良いものを作るために全力を尽くしてプロジェクトに挑戦したい。そんな情熱を持つデベロッパーさんは是非、こちらよりご応募ください

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HARUNO MANRIKI

HARUNO MANRIKI

EDITOR

マインドフルネスで心と体を整えるマッサージ師。日本語・英語・ドイツ語・フランス語の通訳や翻訳ディレクション、インバウンド事業のアドバイザーも兼任している。現在は、自分本来の力で体を整えることができる「自続可能なからだ」作りを提案するマッサージ師として活動中。セルフケア体操教室も主宰し、自宅や職場で簡単にできるセルフケア方法を紹介している。

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